睡眠と記憶の関係

睡眠時の脳内の働きは、レム睡眠が中心に担っていますが、最近はノンレム睡眠時にも記憶の整理や定着が行なわれていると考えられています。

いずれにしても、無駄で重いデータを削除し、活発に脳を働かせるためには、レム睡眠が必要なのです。

睡眠で、記憶力が向上する

もうすこし記憶力があれば、志望校や資格試験に合格したかもしれない、と振り返る人が少なくないようです。もしかすると、そのような人は睡眠法がまちがっていたのかもしれません。記憶とはなんでしょう。記憶は、その保持時間によって、主に「感覚記憶」「短期記憶」「長期記憶」の三つに分類されます。感覚記憶は、音や映像など、一瞬で忘れる記憶です。

短期記憶は、時間がたつと忘れてしまう記憶です。これに対して、知識を身につけたり、運動技能を高めるなど、長期間覚えておかなければいけないものが長期記憶です。長期記憶と睡眠の関係を調ベた1924年の実験をご紹介します。実験は、ふたりの参加者に10語の無意昧な綴りを記憶してもらい、途中で睡眠をとった時と睡眠をとらずに起きていたふたつの条件で、テストを4回(1、2、4、8時間後)行ないました。その結果、ふたりとも、睡眠をとった時のほうが多くの綴りを記憶していたのです。

この結果は、当時、起きている参加者には目、耳から外部の刺激が入るが、眠っていればそのような刺激が入らない。そのため、記憶の喪失が抑制される、と受けとめられていました。しかし、その後、睡眠後の課題成績が飛躍的に向上するというデータが提出されるにつれて、睡眠中には記憶、学習過程が進行すると明らかになったのです。