「ビジネスマンなら、睡眠不足なんて当たり前」と、あなたは軽く考えていませんか。でも、睡眠不足ががん、心臓病、脳卒中など命に関わる重大な病気の原因になっているとしたら、どうでしよう。「たかが、睡眠不足」などと言っていられないのではないでしようか。多くの病気は、睡眠不足と密接に関わっています。ここからは、最近の研究で明らかになった'睡眠と病気の関係を見ていきます。

睡眠とがんの関係

睡眠は、脳の機能を修復し、活性化すると共に、心身の健康を保つという重要な役割を担っています。したがって、日常的な睡眠不足や睡眠障害を持つ人は、将来的に生活習慣病や命に関わる重大な病気にかかる可能性が非常に高くなります。そして、睡眠と病気の関係は、さまざまなエビデンス(医学的根拠)により、裏づけられています。

日本人の死因1位はがんで、2位心臓病、3位肺炎、4位脳卒中となります。まず1位である、がんと睡眠との関係を見てみましよう。国立がん研究センターの統計によれば、がんの死亡者数は35万7305例です。がんは、体を構成する60兆個もの細胞のたったひとつの遺伝子変異によつてがん細胞が発生し、20年以上の年月をかけて細胞分裂を繰り返し、増殖し、やがて人間の生命を奪い、自らも死に絶えます。もちろん、健康な人は、がん細胞が発生しても、増殖を防ぐ力を備えています。免疫という防御システムにより、日々発生するがん細胞を排除しているので、たとえ体内にがん細胞が芽生えても、必ずがんになるというわけではありません。ただ、睡眠不足や良質な睡眠がとれていないと、免疫力が衰えて、がんが発症しやすくなるという研究が数多く報告されているので、注意が必要です。そのひとつが、東北大学の研究です。この研究とは、特定の地域や集団に属する健康な人々を対象に、生活習慣や食習慣などが、将来的(前向き)にどのような影響を健康に与えるかを、長期間にわたり追跡調査するもので、医学研究では信頼性の高いデータとして評価されています。この研究は、2万3995人の女性を8年間追跡し、睡眠時間と乳がんの発症リスクを調べています。それによると、平均7時間睡眠をとる人の乳がん発症率を1とした場合、6時間以下の人は1‘62倍、8時間は1,14倍、9時間以上は0,72倍という結果になりました。いっぽう、夜勤などの不規則な勤務形態が乳がん発症にどのような影響を与えているかを調べたのが、デュレーン大学のデビッド・ブラスク博士です。この研究は、週3回、夜勤をするアメリカの看護師の乳がん発症リスクは、日勤の看護師に比べ1.8倍、夜勤専門の看護師は2‘9倍に達すると報告しています。なぜ、深夜勤務が乳がんの発症を高めるのでしようか。これには、メラトニンというホルモンの分泌量が影響しているようです。メラトニンは催眠促進、免疫力、抗腫瘍作用、活性酸素の中和作用を高める作用を持つホルモンであり、体内時計の働きで、朝の光を浴ぴてから14〜16時間後に血中濃度が高まります。このメラトニンの分泌量は生活環境の明暗に依存し、人工光などの明るい環境で生活していると、その分泌量は著しく抑制されます。デビッド・ブラスク博士によると「夜間に働く人のメラトニンの分泌量は、昼間働く人の5分の1にとどまる」そうで、人間は、朝日と共に起き、日没と共に寝るという生活を原始時代より続けてきました。それが、エジソンらの白熱電球の発明や改良によって、人間は、夜間でも働けるようになりました。人間の経済活動や文化の発展に大きく寄与したこの発明が、130年以上を経た現代社会に、がんや不眠症といった禍をもたらす一因になっているのですから、なんとも皮肉な話です。

マットレスの重要性

もし安定的に睡眠を取りたいのであれば、やはりマットレスの存在が重要になるでしょう。最近はモットンなど、低価格で高品質なマットレスが多く販売されています。特にノンコイルマットレスの性能は、かなり向上しています。腰痛や肩こりだけではなく、精神的な疾患もマットレスによって改善されるという報告がなされているくらいです。それほど、人間工学と脳科学が進化し、そこにマットレスがアジャストできているという証左なのです。マットレスにより熟睡できる環境が整えられ、それにより病気のリスクが軽減されるのであれば、もはやマットレス自体が医者であり、病院であると言えます。「マットレスなんて安いもので十分」という声もありますが、将来のガンリスクを考えるのであれば、睡眠環境の基礎となるマットレスを軽視することはできないと思います。むしろ積極的に高性能の高反発マットレスを取り入れ、肉体と精神の安定を求めるべきではないでしょうか。前述のモットンは、ネットの口コミも多く、非常に評判のよいマットレスとして人気を博しています。高性能なマットレスといえば、エアウィーヴなどが有名ですが、知名度の劣るマットレスでも性能は十分です。モットンなら、エアウィーヴの半分以下の価格で購入することができます。通販で簡単に買うことができますので、かなりお得な投資と言えるのではないでしょうか。高反発マットレスのモットンはおすすめのマットレスです。

寝室の照明と睡眠の関係

「火」を直接、人工光源として使用していた昔の人々に比べ、現代人は高照度、かつブルーライトを浴びやすい環境にさらされているのです。ブルーライトは、可視光線のなかでもっともエネルギーが強く、脳に強い覚醒刺激を与えます。この刺激を受け続けている現代人に、不眠を訴える人が増えるのは当然かもしれません。したがって、寝室は白色を用いず、より自然光に近い電灯色の電球を使用したり、電灯カバーを用いたりして、なるべく暖色系の照明環境を作るようにしてください。しかし、いくら夜間の室内照度が高くなっても、日中の野外の明るさに比べると100分の1程度に過ぎません。したがって、夜間の室内照明の影響を排除し、体内時計をシャキッと調整し、より良い睡眠をとるためには、朝8時までに太陽の光を十分に浴びることが何より大切です。

部屋の明るさと睡眠の関係

照明の普及により、夜でも明るい生活を享受している現代人がいきなり真っ暗な環境に置かれると、脳にまったく刺激が入らず、感覚遮断の状態になります。すると、脳が処理する情報を失って、いわば空回りしてしまい、幻聴や幻覚が現われたり、意識が混溺したりすることもあります。特に、高齢者ではそのようなことが起こることが少なくありません。したがって、不眠気味の人は、脳に多少の刺激を与えるために、真っ暗よりほの暗い状態がいいのです。具体的には、枕の周辺に置いてある時計や小物がぼんやり見える程度に照度を調整すると、精神的に落ち着いて、安心して眠りやすくなります。ところで、現代の夜間室内照度は、ろうそくや行燈を使用した約1000年前(平安時代中期)の約1000倍、ようやくランプやガス灯が普及し始めた100年前(明治時代)の約100倍も明るくなっていることを知っていますか。そして、この間の「分光分布(光源から放射される光を波長ごとに分割し、各波長の色がどの程度含まれているか表わしたもの)」は、暖色系の電灯色、白色系の蛍光灯などと飛躍的な進歩を遂げた一方で、覚醒作用を強める青色波長(ブルーライト)の多い照明器具が増加しました。

睡眠中の脳波の変化とマットレスの関係

睡眠科学は脳波の発見により、飛躍的に発展しました。レム睡眠やノンレム睡眠も、脳波を計測することで、はじめて発見されました。脳波とは、脳が活動すると必ず発する電気信号です。脳の電気信号は、心臓などと異なり非常に微細なので、計測の際に、アンプで心電図よりも強力に増幅しながら、電圧の変化を正確に記録します。脳波は、周波数ごとに「アルファ波」「ベータ波」「シータ波」「デルタ波」の4種に分けられます。覚醒時に目を閉じ、リラックスしている状態では、波が現われます。この波が出現している時は、脳がゆっくりと円滑な活動をしていたり、いつでも働けるようにスタンバイしている状態と考えてください。波は、興奮したり、怒ったりすると減少するのが特徴です。つまり、波の増減量は、脳が受けるストレスの基準になるのです。脳が過剰に活動し、ストレスが高まると増加するのが、周波数以上のが波です。また、睡眠時などには、もっと遅くて振幅の大きい波〔が増加してきます。波より周波数が遅いことから「徐波」と呼ばれます。では、レム睡眠とノンレム睡眠の脳波の違いはなんでしょう。レム睡眠時は覚醒時に近く、振幅の低い0波が出現します。これは、ノンレム睡眠のステージ1と近い浅い睡眠ですが、夢を見ている時は揺り起こしてもなかなか覚醒しません。

睡眠と記憶の関係

睡眠時の脳内の働きは、レム睡眠が中心に担っていますが、最近はノンレム睡眠時にも記憶の整理や定着が行なわれていると考えられています。

いずれにしても、無駄で重いデータを削除し、活発に脳を働かせるためには、レム睡眠が必要なのです。

睡眠で、記憶力が向上する

もうすこし記憶力があれば、志望校や資格試験に合格したかもしれない、と振り返る人が少なくないようです。もしかすると、そのような人は睡眠法がまちがっていたのかもしれません。記憶とはなんでしょう。記憶は、その保持時間によって、主に「感覚記憶」「短期記憶」「長期記憶」の三つに分類されます。感覚記憶は、音や映像など、一瞬で忘れる記憶です。

短期記憶は、時間がたつと忘れてしまう記憶です。これに対して、知識を身につけたり、運動技能を高めるなど、長期間覚えておかなければいけないものが長期記憶です。長期記憶と睡眠の関係を調ベた1924年の実験をご紹介します。実験は、ふたりの参加者に10語の無意昧な綴りを記憶してもらい、途中で睡眠をとった時と睡眠をとらずに起きていたふたつの条件で、テストを4回(1、2、4、8時間後)行ないました。その結果、ふたりとも、睡眠をとった時のほうが多くの綴りを記憶していたのです。

この結果は、当時、起きている参加者には目、耳から外部の刺激が入るが、眠っていればそのような刺激が入らない。そのため、記憶の喪失が抑制される、と受けとめられていました。しかし、その後、睡眠後の課題成績が飛躍的に向上するというデータが提出されるにつれて、睡眠中には記憶、学習過程が進行すると明らかになったのです。

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睡眠が脳を活性化させる

高度に発達した人間の脳は、非常に繊細な神経伝達回路を持ち、全エネルギー消費量の18%も使うほどハードワークをこなしています。しかし、連続的に使用すると機能低下を起こし、損傷すると正常な精神活動や生命活動が行なえず、生命の危機に瀕することになります。そこで、機能の低下した脳をリペアする機能を担うのがノンレム睡眠です。新生児のレム睡眠が動睡眠と言われるのに対し、こちらは「静睡眠」と呼ばれます。この睡眠は、大脳がある程度発達してから出現すればいいので、妊娠半ばあたりから出現します。このため、「第2の睡眠」とも言われています。新生児から幼児にかけて、大脳の発達が進み、覚醒時間が増えると、ノンレム睡眠の出現量が増大し、レム睡眠量は相対的に減少します。そして、大脳が発達すると、2種類の睡眠は、協調しながら脳が壊れないように守るのです。ノンレム睡眠の睡眠深度は4ステージに分かれますが、もつとも深いノンレム睡眠は、脳が高度の統御機能を備えるようになってから開発された新技術とされています。脳が就寝前にどれだけ覚醒していたか、フィードバック信号を元にして、睡眠不足を解消するために作り出された眠りとも言えるでしよう。

快適な睡眠を得る条件

もっと記憶力を高めたい、クリアな脳にしたい、脳を活性化して仕事の効率を高めたい、と誰もが願うことだと思います。でも、どうすればいいのでしょう。その答えは睡眠のなかに隠れています。睡眠とは、単に脳を休ませるだけではなく、脳の働きを高めるために必要不可欠なアクティブな活動なのです。ここからは、睡眠と脳に関わる話題を中心に、睡眠というワンダーランドを見ていきます。

脳を覚醒させるレム睡眠

某教授によると、「睡眠とは脳による脳の管理技術である。睡眠の役割を整理すると、脳を創り、脳を育てる、脳を守る、脳を修復する、脳をよりよく活動させる、ということになる」そうです。では、人間にとって、睡眠はいつから始まるのでしょうか。人間の生命活動は受精の瞬間から始まりますが、受精卵には睡眠も覚醒もありません。その後、受精卵が細胞分裂を繰り返し、個体化が進み、胎児となります。しかし、中枢冲経や内臓が発達したり胎児でも、大脳がほとんど発達していない段階では、睡眠と覚醒はありません。

しかし、大脳が発達してくると、最初にレム睡眠が出現します。睡眠の始まりです。レム睡眠中の祈生児は中枢神経系や筋肉系が刺激され、さかんに細かく動きます。この睡眠は「睡眠」と呼ばれます。これは、レム睡眠が大脳の機能を発達させ、意識を覚醒に近い状態に導くためと考えられます。つまり、大脳を生育する機能をレム睡眠が担っているということです。